常識や伝統を疑ってみる

WEB法話

伝統的に行われていることについて一度疑問を向けてみることは大切な事なのかもしれません。

例えば少林寺拳法の基本演練でもっとも多くなされているものといえば「開足中段構から上段振り子突き」ではないでしょうか?

足を肩幅に開き身体を正面に向けたままの構えで左右の突きを繰り出すあの動作は少林寺拳法の法形には登場しません。

だったら何のために行うのか?

最も多く使う左前や右前の中段構からの動きを一生懸命に取り組んだ方が手っ取り早いんじゃないのだろうか?

という疑問を一時期持った事があります。
そして開足中段構からの練習方法の意味を自分なりにじっくりと考えてみました。
結論をいうと、この練習方法は非常に重要で少林寺拳法技術を習得するのには必要不可欠なものである事が良く理解できました。

今は団体での基本演練について考えています。

今の時点では否定的な考えを持っています。

理由は以下の通り

・習熟度が異なる集団に同じ課題を与えた場合、上級者には物足りず初級者には難しいという問題が生じる。
・集団の中にいる者が受動的な場合、指揮をする者の号令に合わせて動いている様で実は動かされているだけという問題が生じる。これは「自己確立の行」としての少林寺拳法の在り方と真逆の結果になる。

集団での基本演練のメリットもあると思います

例えば
・集団全体に一度に情報を伝達できる。
・全体で同じ動きをする事で一体感を得ることができる。

集団での基本演練の全てを否定するつもりはありません。大人数で修練を行う場合には必要な方法である事は間違いありませんから。

大切なことはメリットとデメリットをしっかりと意識して、デメリットを出来るだけ小さくする工夫をする事だと思います。

例えば、上級者には少し難しい課題を与えるとか、参加者の一人一人が主体的に取り組める様な声かけなどをするとか。

「昔からやってるから」と言うだけで漫然と行っていてはせっかくの時間も労力も無駄になると思うのですがいかがでしょうか?