基本修練について考える

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道院長の森崎です

少林寺拳法の修練では

  1. 鎮魂行、法話
  2. 準備運動(ウォーミングアップ)
  3. 基本修練
  4. 技術修練
  5. 整理運動(クールダウン)

という流れで行われるのが多いかと思います。

今回はその中でも基本修練について考えてみたいと思います。

僕は道院での修練や武専や研修会で基本修練を担当するときに様々な工夫をして取り組んでいます。

「基本修練の指揮を取る時にどのように進めていけば良いか分からない」という方や、一般拳士として基本修練に取り組む際のヒントにもなると思いますので最後まで読んでください。

基本修練の目的

僕は基本修練では少林寺拳法の基本的な身体操作や技術を理解し、身体に刷り込むことが目的と考えています。

動作を身体に刷り込むだけでなく、「修行の心得」に「理を知ること」とあるように、その動作の意味や目的を正しく理解することがとても重要です。

基本修練の指揮を取る際に押さえておきたいポイント

基本修練の目的を達成するために僕なりに工夫をしていることを紹介します。

テーマを決める

基本修練を行う時間は限られています。

一定の時間内でできることも限られています。

なので「今回は何を重点的に行うのか」というテーマを事前に決めるようにしています。

できればその後の技術修練の内容に沿ったものであればなお良いと思います。

そうすることで拳士の目的意識をはっきりとさせることができますし、効率の良い修練にもなります。

例えば「蹴り技を中心に行う」というテーマを考えた場合、次のような内容が考えられます。

  • 基本的な蹴り技(蹴り上げ、蹴り込み、廻蹴、足刀蹴、連蹴、段蹴など)をひと通り単独で行う
  • 相対になって寸止め蹴りや、胴蹴り、ミット蹴りを行う
  • 蹴りに対する受けの修練を行う

この後に蹴りを使った法形の修練につなげると効率が良いですね。

修練全体の流れを意識したテーマを決めると良いと思います。

目的を説明する

基本修練を行う場合には事前にこれから行う動作の意味や目的、その効果などを言葉にして説明することが大切です。

「修行の心得」にも「理を知ること」とあるように、その動作の理屈を理解して行うのと理解せずに行うのとでは修練の効果が全く違います。

以前、ある先生の指導を受けた際に、これから行う動きの順番の説明を受けて「さあ始めて」とその動作を繰り返し修練させられました。

言われるがままに身体を動かしているだけなので真剣に行う気になれませんでした。

またある先生は事前に目的を説明されました。この時は目的意識がはっきりしていたので意識もそこに向けて集中して取り組むことができました。

言葉による説明の効果はとても大きいものであると実感しています。

具体的に説明する

言葉で説明する際にはできるだけ具体的に説明することが大切です。

自分でデモを行って「ここをこういうふうにして…」という説明では何をどういうふうにしたら良いか、聞いているものとしては理解することができません。

なので、とりあえず動作をなんとなく真似するという曖昧な状態になってしまいます。

「腕をしっかり伸ばす」とか「膝を胸の高さまで上げる」とか出来るだけ具体的に説明するようにします。

そのためには自分が今どのように動いているのかを言語化できるようにしっかり認識することが大切です。

段階・体力に応じて数をかける

「修行の心得」に「数をかける」とあるように、身体に動作を覚えさせるためには数をかけて繰り返す必要があります。

日本では食事の際に箸を使います。
初めはぎこちない動作だったのが、なん度も繰り返して使うことで無意識で箸を使って食事をすることができます。

何事も数をかけることが大切ですが、やみくもに数をかければ良いというわけでは合いません。

間違った動きを繰り返すと間違った動きを身につけてしまいます。
やればやるほど下手になるという最悪の状況は避けなければなりません。

そのためには理を知った上で正しい動作をはじめはゆっくりと行い、正しい動きを身体に覚えさせていく必要があります。

少林寺拳法の修練は少しずつ学んでいく漸々修学(ぜんぜんしゅうがく)ですから段階に応じた速度や強度を身につければ良いと考えています。

また道院には様々な年齢層の拳士がいますから、それぞれの体力に応じて数をかけるというのも重要な視点であると思います。

まとめ

今回は基本修練について僕なりに工夫していることをまとめてみました。
基本修練の指揮を取る場合に何をしたら良いのか分からないので、とりあえず頭に思いついたことをなんとなく指示した、という経験は僕にもあります。

ある年の講習会に参加した時に、基本修練を担当した先生が「基本修練は目的を持って行うことが大切です」と指導してくださったことがとても印象に残っていて、自分なりに工夫をするようになりました。

他にもたくさんのポイントがあると思いますのでコメント欄などで教えていただけると嬉しいです。

また取り上げてほしいテーマや相談事などがありましたら問い合わせフォームからご連絡ください。

では、最後まで読んでいただきありがとうございました。