「ダメ出し指導」に「ダメ出し」する

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大会や昇級、昇段試験が終わった、あるいは普段の修練の中で後に指導者として拳士にかける時に、出来ているところを評価する言葉よりも出来ていないことを指摘する言葉の方が多い

と言う事はないでしょうか?

「気合いが小さい」

「練習の時の方が良かったのに」

「そこはそうじゃない」

などなどです

実はこれ、全て僕自身も後輩拳士に対して発していた言葉です。

いわゆる「ダメ出し」ですね。

もっと良くなってもらうために「出来ていないところを伝えて、そこを直してもらいたい」と言う思いから出てきた言葉です。

では、その思いは相手にそのまま伝わっているのでしょうか?

今回は、少林寺拳法の道場だけでなく多くの指導現場で行われている「ダメ出し指導」にあえてダメ出しをしてみようと思います(笑)

ダメ出し指導のデメリット

相手の自己肯定感を下げてしまう

ダメ出し続けると相手の自己肯定感を下げることがわかっています。

これは経験的に理解できる方も多いのではないでしょうか?

相手のやる気を奪う

ダメ出しを続けると相手は「どうせ何をやっても認めてもらえない」という考えるようになりやる気を失ってしまいます。

これは学習的無力感と言われるものです。

信頼関係が築けない

ダメ出しを続けることでは相手に対しての信頼感は育ちません。信頼していないからダメ出しをするということもあるでしょう。

また自分に対してダメ出しばかりしてくる指導者を信頼しようという気持ちにはなれないものです。

場の空気が悪くなる

ダメ出しをしている時に明るくて爽やかな雰囲気で行うことはありません。ネガティブは空気は周囲にも感染し場の空気がどんどん悪くなってしまいます。

なぜダメ出し指導をしてしまうのか?

実を言うと、僕もかつてはダメ出し指導を当たり前のようにしていました。

今になってその理由を考えると、自分自身がそのようにされて育ってきたからなのだと思います。

「よく出来ている」と褒められたこともありますが、ダメ出しをされた経験の方が圧倒的に多いと感じています。

そのダメ出しに対して「確かにそうだ」と納得できるものもあり、それをバネに練習に励んだこともありました。

しかし中には全く腑におちないダメ出しもありました。

人はなぜダメ出し指導をしてしまうのでしょうか?

人はネガティブな面に目が行きやすい

人間はもともとネガティブな面に目が行きやすい性質があります。

ネガティブな状況にいち早く気がつくことで危機を回避して生存確率を上げるためにそのような性質を獲得してきました。

なので、出来ていることよりも出来ていないことの方がよく見えるようになっているのです。

他の指導方法を知らない

人間は育てられたように育てるという性質があります。

他に育て方を知らないのですから、そうなっても仕方ないといえば仕方ないです。

なのでダメ出し指導で育てられた人は、自分がそうされたようにダメ出し指導で人を育てようとします。

ダメ出し指導をやめる方法

ダメ出し指導には多くのデメリットがあります。

そしてダメ出し指導をする原因は人間の脳の働きと経験によるものであることを説明しました。

ダメ出し指導をやめるにはこの2点を改善すれば良い、ということが分かります。

デメリットを知る

まずダメ出し指導のデメリットを知ることが大切です。

デメリットが多いということが理解できれば他の方法を考えようとするものです。

相手の良い面を見る習慣を身につける

先述したとおり、人間の脳はもともとネガティブな面に目がいくように出来ています。

なので普段から意識して相手の良いところを見つける習慣を身につける事が大切です。

またネガティブな面があれば、それをポジティブに脳内変換する方法も効果的です。

例えば

下手 → 伸びしろがある

うるさい → 元気がある

というように

時間がかかるかもしれませんが、必ずできるようになりますので続けてみてください。

ダメ出しをせずに改善点を伝える方法

ダメ出しはデメリットが多い

とは言っても相手に改善点してもらいたい事がある場合は、それをきちんと指摘して正していく必要はあります。

今まではダメ出し指導をしていたわけですが、ダメ出しをせずに改善点を伝える方法がありますので紹介します。

ダメ出しをせずに改善点を伝える「サンドイッチ話法」

相手に改善点を伝える時に改善点だけを伝えるとダメ出し指導になりやすいものです。

  1. なので改善点を伝える前に出来ていることを伝えます。
  2. そして改善点を伝えて
  3. 終わりに期待の言葉で送り出します。

このように伝えることで相手は「認めてもらった上で期待もされている」というポジティブな印象が強く残り改善のための行動に繋がります。

例えばこのように言ってみてはどうでしょうか?

「良いね。ココを直したらもっと良くなるよ。頑張ってね。」

いかがでしょうか?

自分が教えてもらう立場であればこのように言ってもらったらダメ出しよりも「よし、頑張ってみよう」と思えるのではないでしょうか?

改善してもらいたいことを、承認の言葉と期待の言葉で挟んで伝えるので、この話法を「サンドイッチ話法」と呼びます。

改善してもらいたいことを伝える時は前回の記事も参考にしてもらうと良いと思います。

ぜひ試してくだい。

まとめ

ダメ出し指導は指導者の自己満足であったりします。

反論できない相手に自分の言いたいことを一方的に言う事ができるのですから優越感に浸ることもできます。

僕自身、ダメ出しで指導をされてきて辛かったはずなのに、指導する立場になってダメ出し指導をすると「自分もこの立場になれたのか」と悦に浸っていたこともありました。

しかし、それは大きな勘違いでした。

相手は辛そうだし、場の空気は悪くなるし、自分自身も楽しくない。

そしてダメ出し指導をされて辛い思いをしたことを思い出し、今度は自分が辛い思いをさせていることに対して強い違和感を覚えました。

そこからダメ出しをしない指導方法に改善していくと相手も自分も楽しくて場の空気もどんどん良くなってきました。

ダメ出し指導が減っていくことを願っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

これからもコーチングの視点から拳士の指導に役立つ情報も紹介していこうと思います。

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