ついやってしまう残念な指導法5選 失敗例から学ぶ 基本演練編

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指導をする立場になり基本演練を指揮する事になったものの、何をどうしたら良いかわからないで途方に暮れていませんか?

今回は指導者がついやってしまう残念な指導法を具体例を挙げながら考えてみようと思います。

僕は今まで講習会などで数多くの指導者の指導を受けて来ました。

素晴らしい学びになることが多かった一方で、中には残念な指導を経験したのも事実です。

その体験を他人事にはせず反面教師として自分の指導に活かすように意識して来ました。

それが現在の自分自身の指導法に非常に役立っているとか考えています。

なので、単なる批判ではなくて「失敗例から学ぶ」と言う事で今後の指導に活かしてもらえたら嬉しいです。

今回は「基本演練編」として準備運動や基本演練のように一人で集団を指揮する時についやらかしてしまう残念な指導法を紹介します。

そして、「残念な指導法」をどのように改善して自分が指導する時に活かしているのかを紹介します。

1、声が小さい

道院の専有道場ように狭い空間で指揮する場合は多少声が小さくても相手に指示が届くでしょう。

しかし広い会場で多人数を指揮する場合は声が全体に届かない事もあります。

指示が聞こえない時は仕方がないので他の人の動きを見て同じように動くのですが、いかんせん説明が聞こえていないので何をどのように意識すれば良いのか分かりません。

残念です。

【改善した事】

▪️最初に全体に声が届いていることを確認する。

大学少林寺拳法部連盟本部合宿で基本演練を指揮したことが何度かあります。

錬成道場、本堂ともに広く、拳士も100名以上になる事もあります。

始める時に「後ろの方、声が聞こえてますか?」と尋ねて最後尾の拳士が手を挙げてくれたら大丈夫と判断し、その声の大きさを維持するようにしています。

あるいはマイクを借りる事もありました。

▪️声の出し方を工夫する

単に大きな声を出せば良いと言うものではないと思います。

ノドを開き、声を胸郭に共鳴させてよく通る声が出るように意識しています。

学生時代に所属していた吹奏楽部での訓練と多少の声楽の意識が役になっています。

普段は鎮魂行での声の出し方を意識しているのが訓練になっていると思います。※参照記事〜気合について考える〜

▪️全体に視線を向ける

会場全体に満遍なく視線を向ける事で全体を意識することができます。

▪️集団の規模に応じた声の出し方をする

対象が少人数である場合と多人数である場合とでは声の出し方は違います。

少人数を相手に大人数を指導する時と同じようなテンションで指導するとうるさいわ(苦笑)

声の出し方ひとつで伝わり方が違うのは体験すると面白いものです。

2、構成メンバーに応じた内容になっていない

初級者を相手に高度な内容を指示するとついてくることができません。

逆に中・上級者に意味もなく初歩的な内容ばかりを指示すると飽きてしまいます。

残念です

【改善した事】

▪️構成メンバーのレベルがある程度まとまっていれば、そのレベルに応じた内容を指示する。

▪️道院のように様々なレベルの拳士が混在している場合は初級者に合わせた内容を指示した上で中・上級者には応用を効かせたレベルの高い内容を指示するように工夫する。

3、内容に統一性がない

突きをした後に蹴りをして、受けをして、また突きをして

特にプランが無く、思い付きで一貫性の無い指示を出してしまう。

なんとか時間を消費した

残念です

【改善した事】

こんな残念な指導をしたのは誰だ?

僕だ

でも、はじめの頃はそんなものだと思っていました。

ある年の本部での講習会を受講した時に基本演練を担当してた指導員の言葉で考えが改まりました。

「基本を指揮するときはテーマを決めておいた方が良い」

例えば、天王拳(突きによる連攻を主体とした拳系)をテーマにしたなら自ずとその内容も決まって来ます。

・突きによる連攻各種

・連受各種

・連受からの蹴り

これらを単独で確認した後に相対で行う。

こうすればそれなりのボリュームの修練が出来ますし、何より実りある修練ができます。

以後はテーマを決めて行うようになり一貫した指示を出すことが出来る様になりました。

4、全体をひとまとめにしてダメ出しをしてしまう

基本演練で動作の説明をする際に「正くはこうです。皆さんはこんな風にしているのでダメなのです」と全体をひとまとめにしてダメ出しをされると不快極まりない。

個人として評価されず全体として評価される場合、好評価は嬉しいものですが、ダメ出しをされると不愉快なものです。

確かに出来ていない人もいるかもしれませんが、中には出来ている人もいる訳で、そこを無視して全体として評価するのは乱暴というものです。

残念です。

【改善した事】

全体をひとまとめに評価しないようにしました。

注意点を挙げる場合は「よくある失敗例は」という言い回しをして、そうならないように各自で気をつけるように促します。

5、一人でしゃべっている

意外に多いパターンです。

説明がやたらと長くて、ようやく動けたかと思ったらまた説明。

立ったまま寝かけたこともありました(苦笑)

また、やたらと示範が多いパターンもあります。

手本を示すことは大切ですが、研究発表の場ではなのでだから程度というものもあります。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」

という山本五十六の名言を贈りたい。

残念です。

【改善した事】

基本演練の場合、「この動作をする目的」「この動作の意味」「注意点」などを簡潔に説明してから実際に動いてもらいます。

なお改善するべき点や補足があれば説明し再度動いてもらう。なければ次の動きへ。

全体の様子を見ながら休憩の必要があれば少し長めに説明をしたり本当に休憩をしたりしてメリハリのある時間になるように工夫をしています。

まとめ

改めて残念な指導法を挙げてみると、僕自身もやらかしている事が多くありました。

冷や汗をかきながらキーボードに向かっています(誇大表現)

この記事に挙げた「残念」を出来るだけ短時間で回避できれば指導者としてより早く成長できるので参考にしてもらいたいです。

ここでもやはり重要なことは「指導される側が主役である」という意識。

限られた時間が拳士一人一人にとって有益なものになるように指導者は絶えず意識をすることが大切です。