ついやってしまう残念な指導5選 失敗例から学ぶ 技術指導編
指導をする立場になり基本演練を指揮する事になったものの、何をどうしたら良いかわからないで途方に暮れている新米指導者に捧げる第3段
学生指導員として大学少林寺拳法部連盟本部合宿で指導をする場合は技術指導が中心になります。
参加している学生にとって本部合宿で正しい技術を学ぶ事、法形の上達を図る事は最も大きな目的です。
学生指導員として初対面の学生に対してより充実した指導ができるという事は大きな課題です。
なので技術指導の方法については自分なりに様々な工夫をしてきました。
それが現在の自分自身の指導法に非常に役立っていると考えています。
なので、単なる批判ではなくて「失敗例から学ぶ」と言う事で今後の指導に活かしてもらえたら嬉しいです。
今回は「技術指導編」として主に法形演練の時の技術指導をする時に指導者がついやらかしてしまう残念な指導法を紹介します。
そして、それをどのように改善して自分が指導する時に活かしているのかを紹介します。
1、いきなり否定から入ってくる
一生懸命練習をしている拳士に「あぁ、それダメダメ」とか「そんなやり方だから上手く出来ないんだ」といきなり否定の言葉をかけてくる方に何人か出会いました。
自分たちがしている事をいきなり否定されて喜ぶ人間はいません。
仮にその言葉が事実であっても、その後にどれほど有益なアドバイスをもらおうとも素直に受け入れたいとは思えないものです。
残念です。
【改善した事】
肯定の言葉から関わっていくようにしました。
まず出来ているところを評価し、その後に改善点をアドバイスするという順で話をする様に心がけています。
2、自分の技術を押し付けてくる
少林寺拳法の法形は理にかなっている範囲内でいくつかのやり方が許容されています。
例えば逆技を練習している場合。
関節の極めを中心した方法を練習をしているのに、自分が体勢の崩しを重視しているからと言って崩しの指導をしてしまう場合があります。
酷い場合はそれまでにしていた練習方法を否定して「自分のやり方が正しいのだ」と言わんばかりの指導をされる場合もあります。
それは「押し付け」です。
指導される側にとっては自分たちが学びたい内容では無いので困惑するしかありません。
残念です
【改善した事】
ひとつの法形でも様々なやり方がある事を知り自分でも出来る様にしておく。
彼らがどのやり方で練習をしているのかを見極める。
分からないない場合は尋ねる。
指導される側の目的に沿った指導をしなければ意味がないと僕は考えています。
3、一度にたくさんの内容を指導をしてしまう
一回の説明の際にアレもコレもとたくさんの内容を指導してしまう事があります。
指導される側は一度にたくさんの情報を処理する事は難しいので、結局どれも不十分な理解になってしまう事があります。
残念です
【改善した事】
「1時に1事」
それは一般財団法人少林寺拳法連盟の新井前会長より教わったものです。
「1度の指導ではひとつの内容を指導する様に」と教わりました。
前にも述べたように指導される側としては一度にたくさんの内容を説明されても全てを理解する事jはできません。
1度の指導ではポイントをひとつに絞って説明する。
それが出来たら次の段階に進み、やはりポイントをひとつに絞って指導する。
このように段階的に指導していくのが良いと理解しています。
確かにこのように指導をすると理解が早く上達に繋がりやすいと実感しています。
4、話が長い(示範を含む)
前項の「一度にたくさんの内容を指導してしまう」とは別に、ただ単に話が長いというのがあります。
1万歩譲って指導者自身の理想論であったり、技術論であったりすればまだ得られるものもあるかも知れません。
しかし、説明が上手く出来ずにダラダラと長く話をされたり、ようやく動けると思ったらすぐに説明が再開したりすると肝心の身体で覚える事に時間をとる事ができません。
話だけではく示範をして指導者ばかりが技を行なう場合もあります。自分の練習時間ではありません。
残念です。
【改善した事】
法形の修練で大切な事は「法形の意味を理解して動きを身に付ける事」だと考えています。
なので法形のポイントを手短に解説して、動きの中で理解出来るように工夫しています。
僕は示範を含めた説明と修練の時間的な比率で言うと3:7くらいを意識して組み立てています。
5、示範なのにガチで技を掛けてくる
しっかりと技をかけて「掛けられた実感」をしてもらう事は技に興味を持ってもらう上で重要だとは思います。
事実、僕が3級に合格した直後に当時の道院長から十字小手を掛けられた時のインパクトは30年以上経った今でも鮮明に覚えています。
しかし毎回同じように技を掛けられたらどうでしょう?
単純に嫌だへん?
残念です。
【改善した事】
法形を指導する場合は正しく技を掛ける事が重要で、示範する場合も正確に技を掛ける事を心がけています。
しかし、特に逆技を指導する場合には「痛み」が付き物で、正確に技を掛ければそれなりの痛みが伴います。
厄介なことに「痛み」と言う感覚は人それぞに異なるので注意が必要です。
誰にでも同じように技を掛けると思わぬ事故に繋がりかねません。
極めの動作では相手の様子を見ながらゆっくり掛けたり軽く掛けたりする事が必要だと僕は考えています。
面白半分で痛みを与えるような事は言語道断です。
まとめ
技術指導の場でも大切な事はやっぱり「指導される側が主役である」と言う意識です。
特に技術指導になると指導者の「こだわり」が前に出やすくなるものです。
そこをグッと堪えて「目の前の後輩拳士の上達をしっかりサポートする」と言う感覚を大切にしたいと思います
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