少林寺拳法における気合について考える
少林寺拳法の日々の修練や昇級試験、昇段試験、演武の大会など「しっかり気合を出せ」などと気合について指導をされる事って多いと思います。
迫力のある気合ってどうやったら出せるんだろう?
そう考えて日々悶々と思い悩んでいる拳士も多いかと思います。
今回の記事では少林寺拳法の重要な要素である気合について僕なりに考えをまとめてみました。
気合についての基本的な考え方を理解してもらえると思いますのでぜひ最後まで読んでください。
そもそも気合とは何か?
攻撃や反撃の当身を行う際に大きな声で気合を出すことは少林寺拳法の修練を行う上でとても重要とされています。
教範によると「気合は、体内に充満した気力のほとばしりが声となって外に発したものである。」と記されています。
ただ「初心から気合を会得するのはむつかしいから、初めの内は、声を大きく出すことから練習することも必要である。」とも述べられています。
そして最終的には「含気合(ふくみきあい)と呼ばれている無声の気合で有声の気合より以上の効果を上げるようにならなければならいない。」とあります。
つまり「声を出しての気合は最終段階である含気合に至るための練習」と言うことなんですね。
まだまだそこまで至ってないわ…💦
気合は大事だけど、ただ大声を出せば良いってもんじゃない
さらに教範では「発声は自分自身の意気を励まし、力を集中せしめると共に、敵の気力を挫き、出ばなを制して虚脱せしめることも可能となるのである。」とも説明されています。
気合はこれだけ重要なものなので昇格考試や演武を行うときにはしっかりとした声で気合を出す事が大切になるのです。
ちなみに、競技での演武では「気勢と気合」が審査項目にもバッチリ入っているので重要なポイントです。
しかし、近年の審判員講習会ではこの気合のあり方について指導がなされています。
つまり品位に欠けるような気合は減点の対象にもなると言う事です。
このように「気合はしっかりとした声で出すのが重要なのですが、品位に欠けるような汚い声での気合は良くない」と言うことです。
読本にも「『気合』は、単なる大声を張り上げるのではなく、充気によって自然に発するものでなければなりません。」とあります。
気合は大事だけど、ただ大声を出せば良いってもんじゃないのです。
何に「気」を合わせるのか?
ここで「気合」と言う言葉に焦点を当てて考えてみましょう。
「気合」とは「気を合わせる」と書きます。
では何と気を合わせるのか?
僕は「極めに気を合わせる」と考えています。
ちなみに「気」はざっくりと「エネルギー」と言うふうに理解しておいてもらえればいいと思います。
つまり「気合」は「体内に充満したエネルギーを凝縮して極めに合わせて声として発せられるもの」と言う事だと考えています。
だから技を出す前に気合を出したり、技を出した後に気合を出すと言うのは間違いなのです。
当身を相手に極めるのと同時に気合を発することが重要で、それによって極めの効果が最大限に発揮されるのです。
鎮魂行と気合の関係
少林寺拳法の修行の中で声に関する行に「鎮魂行」があります。
鎮魂行で教典(一般財団の支部では道訓)を唱和する際に皆さんはどのようにされているでしょうか?
僕は「鎮魂行では怒鳴るような大声を出してはいけない」と教わりました。
鎮魂行での声の出し方にもいろいろあるのだと思ったので、それから自分なりに工夫をしてきました。
今は瞑目の際に行う呼吸法に合わせて唱和するようにしています。
具体的には
・鼻から短く息を吸い
・身体はリラックスさせ
・喉を緩め
・丹田から息を出すような意識で息を吐き
・胸郭に声を響かせるように声を出す
と言うイメージです。
瞑目中は少林寺拳法の呼吸法(詳細は読本を参照してください)に意識を集中させます。
技法演練の際は身体の動きに呼吸を合わせることを意識しています。
動きと呼吸が合うと組演武のような激しい動きの中でも呼吸が乱れにくくなります。
またリラックスした状態で声を出す訓練は力みのない気合の習得にも役に立ちます。
事実、ある高段者の演武は力みのない動きと共に力みのない上に迫力のある気合が発せられていて、その調和した姿に知らず知らずの間に引き込まれるような魅力がありました。
呼吸法と鎮魂行、そして技法演練が一連の流れにあることを体感覚として理解できた時に「行としての少林寺拳法」の意味も理解できたように思います。
鎮魂行と気合の関係についてはこちらの動画でも解説していますので良かったらご覧ください
まとめ
気合の出し方にも、その人の品格が出ると思います。
ただ大きいだけで四方に拡散すような気合ではなく、鋭くコアの一点を貫くような気合が僕の理想です。
そのような気合が出せるようになるために呼吸法、鎮魂行での声の出し方を工夫すると良いトレーニングになると思います。
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