痛くて嫌! 逆技を安全に楽しく上達するための工夫(後編)
前回の記事をアップして半年が経ってしまいました…
◆逆技を安全に楽しく上達するための5ステップ
逆技を安全に楽しく上達するためには闇雲に技を掛け合っても遠回りするだけで効率が悪い練習になります。
痛い思いをして結果的に「この技を難しいね」で終わる事も珍しくありません。
逆技を安全に楽しく上達するための練習方法として次の5ステップをお勧めします。
これは一般財団法人少林寺拳法連盟の新井前会長にご指導頂いた内容を参考にして実際に僕が指導をしたり練習をしたりする時に行っている方法です。
- 技の原理原則を知る
- その原理原則を実験で試してみる(実験法)
- 実験法を実際の法形に当てはめてみる
- 攻者は正しく掛かるように守者を誘導する(誘導法)
- 段階的に極めの強さをあげていく
- まとめ
では具体的に説明していきましょう
技の原理原則を知る
少林寺拳法の「修行の心得」にも「理を知る」という項目があるように技の原理原則を理解することは特に柔法の上達のためにはとても大切です。
闇雲に答えを探すのではなく、最初に答えを知ったうえで練習をする方が効率が良いと言うことです。
その原理原則を実験で試してみる(実験法)
一旦法形から離れて原理原則の部分を抜き出して実験をしてみます。
例えば十字小手であれば、手首と肘をS字状に曲げさせて、どの方向に力を加えたら相手の身体が崩れるのかを確認してみます。
・原理原則に従って力を加えたら相手の身体は楽に崩れる。
・逆に原理原則に従わずに力を加えたら相手の相手の身体を崩すのにとても力が必要になったり全く崩れない。
ということを実験で確認をします。
実験法を実際の法形に当てはめてみる
実験法で技の原理原則を理解することが出来たら、次の段階は実際の法形に当てはめて修練してみます。
実験法をした時と体勢など少々違いはありますが基本的な掛け方は同じなので実験法をしない時よりも理解は早いと思います。
同じく十字小手を例にして説明すると、手首を逆に掴まれた状態から実験法で確認した動きをゆっくりと再現してみます。
この段階での目標は、実際に技を効かせることよりも実験法で確認した原理原則を実際の法形で再確認すことです。
攻者は正しく掛かるように守者を誘導する(誘導法)
この方法は技を掛けられている方(攻者)が技を掛ける方(守者)に「どう攻めたら崩れるのか」をアドバイスしながら誘導する方法です。
この時は先に紹介した実験法の時に行っても法形の修練の際に行ってもどちらでも有効です。
守者は攻者の誘導に従って力を加えて正しい力の伝え方を学びます。
この練習の前提として攻者は正しく技を掛けられる感覚を知っていることが必要になります。
正しく技をかけられる感覚が分からないのに守者を誘導することはできません。
段階的に極めの強さをあげていく
慣れない技や不得意な技を練習する時には知らず知らずのうちに身体に余分な力が入ってしまうものです。
しかし、その「力み」が正しい力の掛け方の邪魔をし、余計な痛みを相手に与えているのです。
「どうしても技を効かせてやる!」という強い思いは大切です。
でも、その想いは一旦置いて先に学習した実験法と誘導法をゆっくりと丁寧に繰り返し、慣れてきたら徐々にスピードを上げたり一挙動作で掛けてみたりと段階的に極めの強さを上げていく方が上達の近道ですし、何より余計な痛みを与えなくて済みます。
まとめ
教わった技が難しくて仲間と一緒に頭を悩ませながら試行錯誤を繰り返す練習もある意味では楽しいものです。
しかし、間違った方法を繰り返して練習をすると逆に上達から遠ざかることもあります。
お互いに無用な痛みを与え合って、なんだかよく分からないけど練習をした気分になるだけなのかもしれません。
時間を浪費するのももったいない話ですが、それ以上に身体に余計な負担をかけて不健康を増進させるのは馬鹿らしいことだと思います。
実験法や誘導法についは以下に紹介する書籍で学ぶことができるので参考にしてください。
- 少林寺拳法 柔法のコツ 〈DVDでよくわかる!〉
- 少林寺拳法 柔法の秘密〈DVDでよくわかる!〉
この練習法を上手に活用すると上達が早くなると思いますし、互いにコミュニケーションを取りながら楽しく練習をする事ができると思います。
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