日馬富士の事件から考える事

WEB法話

横綱日馬富士関が後輩力士を暴行して引退した出来事は、人を指導する立場にある者として考えさせられる事がありました。

まず第一に、日馬富士関は「先輩横綱として、弟弟子が礼儀と礼節がなってないときには、それを正し、直し、教えてあげるのは先輩としての義務だと思っています。」と引退会見で述べています。
その考え方はとても正しいと思うし、共感も出来ます。
でも礼儀や礼節を教えるのに相手を殴っちゃダメだよなぁ、と言うのが私の感想でした。

しかも「平手で十数回殴り、側にあったカラオケのリモコンで数回頭を殴った。続けてシャンパンのボトルをつかんで振り上げたが、滑ってその場に落ちたという。」(高野利雄危機管理委員長談)って言うから、日馬富士関本人も「行きすぎた」と言っているように、これはやはりやり過ぎだと思う訳です。

とにかく人に物を教えるのは難しい。
少林寺拳法の技法を指導する場合でも、同じ事を何度も何度も繰り返し指導しても、こちらの思うようには伝わらないのが現実です。
ましてや考え方や行動を変えさせるのはもっと難しい。一回や二回説いて聞かせて変わるようなものではないのです。

極めて日本人的な考え方かも知れませんが、結局は説いて聞かせた上で、自らの行動で手本を示す以外方法は無いんじゃないのかと思います。時間はかかるだろうけれど。

旧日本海軍連合艦隊司令長官山本五十六の有名な言葉を思い出します。

「やって見せ、言って聞かせて、させて見て、
ほめてやらねば、人は動かず。

話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。

やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

信頼して見守る辛抱強さ
指導者にとってこれは必要だと思います。